村史によると、鉱泉湧出の発見は大正初期。その鉱泉水を調査したところ薬効が認められ「常盤鉱泉」として売られていたのが昭和初期のことである。天塩川温泉のルーツは今から80年余も前に始まっている。常盤鉱泉は飲用薬として売られた頃、湧水口付近に小屋を建て、浴用として小規模な経営に至るが自然消滅。昭和40年に民間人が本格的浴場建設に着手するが資金難で頓挫してしまう。その七年後、村が権利を買い取り、音威子府村保養センター・天塩川温泉を開設、近隣より多くの利用者が訪れたという。
北海道第二の長流天塩川と山々の自然に囲まれた温泉は、未だに湧出が続くこの辺りでは極めて珍しい源泉温度10℃の含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型・中性低張性冷鉱泉)を直接引き込んでいる。露天風呂を持つ、自慢の100%天然温泉である。なんでも1億5000万年前の地層である白亜系の断層に沿って湧出しているという国内でも例のない薬湯だという。(道内では芦別島の下鉱泉、幾春別鉱泉が知られている)浴場は内風呂と露天風呂、洗い場が男女対称にある。この浴場入り口手前に、飲用の蛇口が用意されていて、持ち帰りにも利用されている。ちょっと飲んでみると、薄い硫黄の香りと味がありスポーツドリンク?と言えそうな味わいだった。二日酔いや肝臓、糖尿病に効くとされ今でも多くの実話がある。
さて、毎年12月中旬から4月一杯までは露天風呂が閉められる。足下が凍って危険だという。なるほど屋外に出ると寒風吹きすさぶ北の厳しい冬があり、これは呵るべき処置と思えた。上川地域の冷えは格別で川は結氷当たり前、マイナス30℃を記録することもあるのだから。露天を味わえることを感謝しつつ、ちょっと熱めになったお湯に体を沈める。じわじわ込み上げる大好きな冷鉱泉の感触。決してヌルヌルせず毛穴から染込んでくるような湯触り。んんーっ、たまりません。外気の温度が低く湯気がもうもうと立ち込める。冬の露天はこれだからやめられない。そうやって貸切りを堪能していたら、さっそく浴場には利用者が一人、また一人と訪れる。「あんた、どっから?」「どこからみえたの?」気さくな人たちが話しかけてくるのも「田舎の温泉」風情である。
11時30分から営業するレストランでは村名産“黒いそば”が味わえる。通常のそばは種子の内層、中層を粉にするが、ここの黒いそばは外層も使用することから真っ黒な色のそばになるわけだ。音威子府ではJR駅とこの温泉でしか食べられないので是非ご体験を。
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音威子府自慢の「黒いそば」。実にそばらしい味は見事。ひと袋330円 |
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レストランには音威子府そばや軽食など豊富なメニューがある |
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特別室(2部屋)にはベッドと和室の贅沢な作り |
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露天風呂は厳冬期クローズ。冬の体験は12月中旬までだ |
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大広間は最大150名収容。宴会、研修会など多目的に使える |
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なんと一人用の部屋もある! |
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常盤鉱泉は今でも健在。自由に持ち帰り可能 |